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Posted by チェスト at

2009年03月31日

...ちる花...




Kokubu, mars 2008

 仁和の中将の御息所の家に,歌わせむとしける時によめる
そせい

惜しと思うふ心は糸によられなん ちる花ごとにぬきてとどめん

『古今和歌集』/ 佐伯梅友校注
  


Posted by Nomade at 22:58Comments(0)

2009年03月30日

世の中の...




Kagoshima, mars 2009

 渚の院にて桜を見てよめる

在原業平朝臣

世の中にたえてさくらのなかりせば 春の心はのどけからまし

『古今和歌集』/佐伯梅友校注
  


Posted by Nomade at 22:58Comments(0)

2009年03月27日

ことしより...




Kagoshima, février 2009

 
人の家にうえたりける桜の,花さきはじめたりけるをみてよめる
つらゆき

ことしより春知りそむる桜花 ちるといふ事はならはざらなん

『古今和歌集』/佐伯梅友校注
  


Posted by Nomade at 22:45Comments(0)

2009年03月26日

桜の花が咲くと...




Kagoshima, mars 2009

 桜の花が咲くと人々は酒をぶらさげたり団子をたべて花の下を歩いて絶景だの春ランマンだのと浮かれて陽気になりますが,これは嘘です。なぜ嘘かと申しますと,桜の花の下へ人がより集まって酔っぱらってゲロを吐いて喧嘩して,これは江戸時代からの話で,大昔は桜の花の下は怖しいと思っても,絶景などとは誰も思いませんでした。近頃は桜の花の下といえば人間がより集まって酒をのんで喧嘩していますから陽気でにぎやかだと思いこんでいますが,桜の花の下から人間を取り去ると怖しい景色になりますので,能にも,さる母親が愛児を人にさらわれて子供を探して発狂して桜の花の満開の林の下へ来かかり見渡す花びらの陰に子供の幻を描いて苦い死にして花びらに埋まってしまう(このところ小生の蛇足)という話もあり,桜の花の下に人の姿がなければ怖しいばかりです。

坂口安吾「桜の森の満開の下」
  
タグ :坂口安吾


Posted by Nomade at 23:26Comments(0)

2009年03月25日

古き良きアメリカ




Kagoshima, octobre 2008

 合衆国に滞在中,注意を惹かれた新奇な事物の中でも,境遇の平等ほど私の目を驚かせたものはなかった。この基本的事実が社会の動きに与える深甚な影響はたやすく分かった。それは公共精神に一定の方向を与え,法律にある傾向を付与する。為政者に新たな準則を課し,被治者に特有の習性をもたらす。

トクヴィル『アメリカのデモクラシー』/松本礼二訳
  
タグ :トクヴィル


Posted by Nomade at 23:15Comments(0)

2009年03月24日

人はいろいろな方法によって同じ結果に到達する




Bordeaux, mars 2008

 まことに人間というものは驚くほど空な,変わりやすい,不定な存在である。人間について恒常斉一な判断を立てることはむずかしい。あのように,ポンペイウスはマルメティエ全部に大いに怒っていたのに,一市民ゼノンが公の罪を一身に引き受け,自分を罰するだけにとどめていただきたいと願い出た勇気と気概に感じて市民全部を許した。ところがスルラの客人はペルシア市で同じ勇気を示したのに,自分のためにも他人のためにも何の得るところもなかった。

モンテーニュ『エセー』/原二郎訳
  


Posted by Nomade at 22:24Comments(0)

2009年03月23日

中途半端な状態




Kagoshima, novembre 2008

「前々から一度,私たちはきちんと顔を合わせて,話しをすべきではないかと思っていました。こう長い間,中途半端な状態が続いたら,お互い相手に対してよくない妄想がふくらむばかりで,ますますややこしくなると考えたからです。実際に会えば,自分の妄想よりはずっと普通の人間だと分かり合えるはずです。身勝手な言い草だとお気を悪くなさらないで下さい。自分の立場を正当化しようとしているわけじゃないんです。ただ,今のままじゃ駄目だ,って痛切に感じるだけなんです。けれど,これまで一度も離婚を急かせたことはありません。本当です。今私が言っていることと離婚は,次元の違う問題です。私が離婚離婚と騒ぎ立てるのは,反則行為だし,それに何より,彼をうんざりさせるのが怖いんです。」

小川洋子『やさしい訴え』
  
タグ :小川洋子


Posted by Nomade at 21:58Comments(0)

2009年03月19日

君へ...




Kagoshima. février 2009

「君へ...」

 卒園おめでとう。
 そして愉快な三年間をありがとう。
 生後8ヶ月にも満たない時に大きな病気をして、あれほどお母さんを心配させていた君が、周囲を圧倒するほど元気な女の子に成長して、幼稚園を卒業できるなんて!
 君の強さに驚嘆するとともに、幼稚園の先生方をはじめ、今日まで君の成長を見守り、支えて下さったすべての方々に、改めて深く感謝せずにはいられません。
 この三年間、君の底抜けに明るくて大きな笑い声、可愛い仕草、そして大人顔負けの優しさに、いつも慰められ、励まされてきました。本当に素晴らしい日々でした。
 これからも、君が持っているすばらしい所、たとえば好奇心、優しさ、他者の善良さを信じる心を大切にしながら、ますます愉快な日々を過ごしていきましょう!

「無題」匿名
  
タグ :PERSO


Posted by Nomade at 23:10Comments(0)

2009年03月18日

拝啓 かあさん おげんきですか...




Bordeaux, septembre 2007

書簡

拝啓
かあさん おげんきですか
バッテン黒旗党にみつからないように うまくかくれていますか
大人になった猫の
ニューニャも
気をつけてください 見つかって収容所へ入れられたらと思うと僕は心配で夜も眠れません

でも ぼくは元気で何とかやっていますから安心してください
同封したしゃしんはぼくの近影です
この一ヶ月間のぼくの任務は 収容所の釜の番人です
子供をだました大人のうち 人民裁判にかけられ<死刑>ときまった人を 焼きころす仕事です
はじめのうちは 匂いに閉口しましたが近頃では馴れました
一日に七 八人焼きます
骨は人炭になります ぼくのうしろで縛られているのは教育映画で子供に 親孝行をおしつけた女優です
焼くと香水の匂いがして あんまりいいかんじじゃありませんでした またお便りします
二伸
ニャーニャにミルクをやるのを忘れないでね さよなら

寺山修司「映画 トマトケチャップ皇帝」in『寺山修司詩集』
  
タグ :寺山修司


Posted by Nomade at 23:10Comments(0)

2009年03月17日

王女




Saint-Sève, mars 2008

「あたしのおもしろい侏儒がすねているのよ」王女は叫びました,「侏儒を起こして,あたしのために踊れとおっしゃってくださいな」
 ふたりは顔を見合わせてにっこり笑うと,ぶらぶらはいってきました。そしてドン・ペドロはかがみこむと,刺繍をした手袋で,侏儒の頬をぴしゃりと打ちました。「踊らなければいけないぞ」彼は言いました,「ちっちゃな化け物(プチ・モンストル)よ。踊らなきゃだめだ。スペインおよび西インド諸島の王女さまが,楽しみごとを所望なのだ」
 ところが,小さな侏儒は,身動きひとつしませんでした。
 「笞刑頭(ちけいがしら)を呼びよせなくては」ものうげにドン・ペドロは言うと,テラスへ引き返していきました。しかし侍従はまじめな顔をして,小さな侏儒のそばにひざまずくと,手を侏儒の心臓にあてました。しばらくして,侍従は肩をすくめて,立ちあがると,王女はうやうやしく一礼して,言いました。
 「わがうるわしき王女さま(ミート・ペルヤ・プリンセサ),王女さまのおもしろい侏儒は,もう二度と,踊りはいたしませぬ。残念でございます,これくらい醜ければ,王さまをお笑わせすることもできましたろうものを」
「でもどうして二度と踊らないの?」笑いながら王女はたずねました。
「心臓が破れたからでございます」と侍従は答えました。
 すると,王女は顔をしかめ,あでやかな花びらに似たくちびるを,美しい軽蔑でゆがめました。「これからは,あたしのところへ遊びにくるものは,心臓のないものにしてね」と王女は叫ぶと,庭へ走りでました。

オスカー・ワイルド「王女の誕生日」in『幸福な王子』
  


Posted by Nomade at 12:02Comments(0)

2009年03月16日

二人だけの秘密




Lyon, mars 2008

 新田氏と二人だけの秘密を持てたことは,わたしにゆるぎない喜びを持たらした。あの夜起こった出来事そのものよりも,秘密を分かち合っていることのほうが大切だった。三人でいる時,喜びを二人の間でかみしめ合えたら,とわたしは願った。なのにその方法が分からなかった。新田氏はただ,自分の内側の静けさに身を浸しているだけだった。
 しかし彼は,チェンバロを弾かなかった。この事実が時折,わたしの胸に影のように差し込んできた。喜びを台無しにするほど狂暴ではないが,無視しようとしても必ず視界のどこかに入り,こすり落とそうとしても消えなかった。
 けれどもわたしは決して深刻にならなかった。彼と共有した一場面一場面を思い出してゆけば,すぐにまた快感を呼び戻すことができた。
 林の闇が怖くなくなった。夜仕事に熱中し,疲れてふと窓の外の暗がりに目をやる瞬間が,好きになった。わたしたちを結び付けてくれたのがこの闇だった。もうここは光の届かない深海などではなく,二人を包んでくれる,薫さんから遠ざけてくれる,手触りのいいベールだった。
 不思議と夫への後ろめたさはなかった。別荘へ来たのは夫から逃げるためではなく,新田氏と出会うためだったのだと思いはじめていた。あの夜新田氏とわたしの間で交わされた営みが,夫と繰り返してきた行為と同じものだとはとても信じられなかった。あれは二人の間にしか存在しえない,特別な時間だった。新田氏は肉体を通してわたしの心のすべてに触れた。夫は決して,私たちのベールをすり抜けられはしない。

小川洋子『やさしい訴え』
  
タグ :小川洋子


Posted by Nomade at 19:50Comments(0)

2009年03月03日




Kyoto, février 2009


 ちりぬとも香をだに残せ 梅の花 恋しき時の思ひでにせん


よみ人しらずin『古今和歌集』
  


Posted by Nomade at 10:16Comments(0)