2011年04月06日
あなたとわたし
Kagoshima, avril 2010
「ふゆのさくら」
おとことおんなが
われなべにとじぶたしきにむすばれて
つぎのひからはやぬかみそくさく
なっていくのはいやなのです
あなたがしゅろうのかねであるなら
わたしはそのひびきでありたい
あなたがうたのひとふしであるなら
わたしはそのついくでありたい
あなたがいっこのれもんであるなら
わたしはかがみのなかのれもん
そのようにあなたとしずかにむきあいたい
たましいのせかいでは
わたしもあなたもえいえんのわらべで
そうしたおままごともゆるされるでしょう
しめったふとんににおいのする
まぶたのようにおもたくひさしのたれさがる
ひとつやねのしたにすめないからといって
なにをかなしむひつようがありましょう
ごらんなさいだいりびなのように
わたくしたちがならんですわったござのうえ
そこだけあかるくくれなずんで
たえまなくさくらのはなびらのちりかかる
新川和江「ふゆのさくら」in『新川和江詩集』(『比喩ではなく』)
Posted by Nomade at 22:35│Comments(0)