2009年08月26日
<私生活>という名の牢獄
Tokyo, avril 2009
このような社会〔=王制後の社会〕では,カースト・階級・ギルドの絆による相互結合など,もはやありえない。そこで,私的利益のみに没頭し,つねに自分自身のことだけに思いを巡らし,一切の公徳心を圧殺した偏狭な個人主義に閉じこもる傾向があまりに強くなる。専制はこうした傾向と闘うどころか,それを不可坑なものにしてしまう。なぜなら,専制は市民から共通感情,相互要求,相互理解の必要性,共同行動の機会を完全に奪っているからである。いわば,専制は人々を私生活の中に閉じ込めるのである。人間の孤立化の傾向がすでにあって,専制がそれを促進する。人々はすでに相互に冷淡になっていて,専制が人々の心を凍らせる。
トクヴィル『旧体制と大革命』/ 小山勉訳
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