2009年07月01日
生涯の樹
Kagoshima, juin 2009
「(みつぎ橋の上)」
罪のむくいを求めるものと
ともにある,
すでに終わりを救われてあるものと,
山のきしに発足する
一列のちいさな橋
海のきしに流れる
一千,二千の落としもの
あしたの火に生まれ,
夜の火に眠る。
ともにある,
やぶれるものと
やぶれえぬものと,
ことにおごそかな宿命を礼拝して
生涯の樹に徹底した。
けれども水は濁流し,
この橋は
私の揺籃を模倣する。
稲川方人「(みつぎ橋の上)」in『稲川方人詩集』(『われらを生かしめる者はどこか』)
Posted by Nomade at 21:41│Comments(0)