2009年06月17日
くれてやるこころの火
Paris, mars 2008
(石の音,かなしいでしょう)
(丘の墓地も,
(ハイウエイが横切りました,
(わたしの寿命も,
(とうにつきているはずです,
(水の映画を見ますか,
(喪服のない,
(実さんが哭いていますが,
(誰が悪いというのではありません,
(水の映画を見ますか,
(みつぎ橋を渡ると,
(石の音,かなしいでしょう,
(誰が悪いというのではありません,
(桃の木をゆすって,
(わたしを眠らないようにしてくれませんか,
(みつぎ橋を渡ると,
(石の音,かなしいでしょう,
(八重さんはどこにいますか,
(ここに座って,
(水の映画を見ますか,
(鬼火です,
(ほら,くれてやるこころの火です,
稲川方人「(石の音,かなしいでしょう)」(『われらを生かしめる者はどこか』)
in『稲川方人詩集』
in『稲川方人詩集』
Posted by Nomade at 23:35│Comments(0)